
この企画は、芸人の九月と、彫刻家/文筆家のコニシムツキによるラジオ番組です。
辞書を引いて出てきた単語をこねくり回して面白がる。ただそれだけの時間を過ごします。
Podcastでも、ブログ記事としても好きな形で。
コニシ:はい、というわけでやっております。広義苑、お相手はコニシムツキと、
九月:九月です。
コニシ:さあ、今回も辞書をペラペラと捲って言葉を聞いていきましょう。ストップお願いします。
九月:ストップ!
コニシ:はい。……割と最後の方ですね。「やっちゃ」。
九月:やっちゃ!やっちゃ?やっちゃ!……方言の語尾みたいな。
コニシ:ちょっと変なの出ましたね。「やっちゃ」。掛け声。囃し(はやし)の声。また、褒めそやす時、驚いた時などの声、です。
九月:言わねえよ、「やっちゃ」って!めちゃくちゃ方言じゃない?
コニシ:めちゃめちゃ方言ですね、これは多分。「やっちゃやっちゃ」みたいな、まあ囃しの声。
九月:ああ、「やってまえ」みたいなことか。
コニシ:まあ確かに。これはだいぶなんかイレギュラーだけど、載ってんだな、こんなんが。
九月:「やっちゃ」。どこだろう。九州とかかな。「やっちゃ」。なんか「だっちゃ」とかって言うもんね。
コニシ:あ、出てきましたよ。やっちゃ、方言で、宮崎県、長崎県とか。
九月:宮崎!長崎!
コニシ:九州。へえ。……あ、でもそう思うと……
九月:あ、でもごめん、こっちは意味違うかも。なんか語尾に使うやつで、「なんとかやっちゃ」って言ったら「なんとかだよ」みたいな。
コニシ:ああ、九州っぽい。……でもまた別ですね。
九月:あ、でもなんか思ったのは、その「や」がつく掛け声ってあるよね。
コニシ:まあ確かに。「ヤーヤーヤー」みたいな。
九月:そうそう。どこだっけ、広島だっけ。どっかがさ、小学生とかがさ、「みんな集合ー!」って言われたら「ヤー!」って言ってから走るみたいな県あるって言うよね。
コニシ:ありますね。
九月:とか、あと俺地元が青森だから、ねぶた祭りとか、ねぷた祭り、今いろいろあるんだけど、ああいう祭りの掛け声も「や」から始まるやつあんのよ。
コニシ:ふーん。
九月:ええとね、ねぶたは「ラッセラー」なんだけど、ねぷた……なんか街で呼び方違うんですけど、弘前市とかのねぷた祭りは、ええとね、「ヤーレヤーレヤーレヤー」だと思う。
コニシ:ほう。
九月:ヤーレヤーレヤーレヤーな気がする……。あ、違うわ。ええとね、黒石市とか平川市とか、細かく街で違うんだけど、「ヤーヤドー」の地域もあるの。
コニシ:へえー。
九月:ヤーヤドー。ヤーレヤーレヤーレヤー。
コニシ:確かに言われてみれば、ソーラン節とかも「ヤーレンソーラン」。
九月:そうそう。だから「やー」がそれ系なんだよ。
コニシ:まあ、やっぱこう腹から声出しやすいっていう、あれなんですかね。
九月:掛け声っぽい。「や」。あとあれじゃない?日常会話で「や」から始まる文字、言葉が少ないから、なんていうの、他の言葉とぶつかんないのもあるんじゃない。
コニシ:ああ、確かにな。
九月:それもあるかも。
コニシ:やっちゃ。
九月:やっちゃ。
コニシ:まあでもなんか、可愛げはありますね。
九月:あるある。「やっちゃやっちゃ」って言いたい感じはわかる。
コニシ:なんかその、プロレスとか格闘技とかそういうのの野次で入っても、なんか怖くない。
九月:「おーやっちゃやっちゃ!やっちゃやっちゃ!」
コニシ:ね、こうなんか「残った残った」くらい。
九月:ああ、そっか。でも使い方もそうだろうね。「残った残った、やっちゃやっちゃ」な気はするよね。「やっちゃやっちゃ、やっちゃやっちゃ……」。
コニシ:やっちゃやっちゃやっちゃやっちゃ……やっちゃ。
九月:どのくらいのさ、頻度というか、分量で言う言葉なんだろうね。一発にかけて「やっちゃー!」っていうのか、「やっちゃやっちゃやっちゃ」の密度で攻めるやつなのか。掛け声っていくつかあるじゃない。どれなんだろうね。
コニシ:そうだなぁ。確かにどっちなんだろう。
九月:「エイエイオー」とか一撃必殺じゃん。何回も言わないあんなのは。「エイエイオー」あんなん。連発前提と違うじゃない。でも「ゴーゴーゴーゴー」とかは何回も言うし。
コニシ:確かに。「オーエス」とかね。連発前提と違うじゃない。やっちゃやっちゃやっちゃやっちゃ……。
九月:まあでも「やっちゃ」はなんか響き的に連発っぽい感じはします。
コニシ:やっちゃやっちゃか。「チャ」で終わるのって多分一発出しきれない感じが……。
九月:そっか。エイエイオーはもう出し切るための「エイエイ」があるもんね。「チャ」で終わるって。「やっちゃー!」
コニシ:「や」で出てたやつをちょっと「チャ」でブレーキ踏むというか。
九月:そっか。何回も言うためにあえて弱めにしてるのか。
コニシ:跳ねさせてる感じの……。
九月:確かに。跳ねたら確かにな、何回も言いたいな。「やっちゃやっちゃ」。
九月:やっちゃやっちゃか。
コニシ:まあでもなんかこう、そんなに何かを囃し立てたりする声に出してことって最近なかったから。「やっちゃ」以外にもそういうなんか「ヘイヘイヘイ」みたいな、「ヒューヒュー」みたいなこと自体あんま言わない。
九月:言わないな。頻度がないな。「ヒューヒュー」マジ言わない。マジもう漫画でも見なくなってきた。
コニシ:確かに。
九月:ちっちゃい頃、漫画とかアニメでまだあったじゃん。俺たちがちっちゃい頃は漫画の中だったらヒューヒューいたけど、大人になってもう見ないし。
コニシ:全くないっすね。
九月:子供の頃から周りにはいなかったじゃん、ヒューヒュー。フィクションからも消えたよね、ヒューヒュー。……まあ「よいしょ」とかか。
コニシ:あー、まあ「よいしょ」は、まあ確かにそうっすね。
九月:ヒューヒュー、よいしょ。やあ。そうね、言わないな、でも掛け声。そういうシチュエーション少ない。……でも、あれなんじゃない?SNSとかの「いいね」集まってる感じは近いんじゃない?「やっちゃやっちゃやっちゃ」に近いんじゃない?
コニシ:「イケイケイケ!」みたいな。
九月:だから、そのTwitter(X)の「いいね」、あれ「やっちゃ」なわけ。ソフトバンクは。
コニシ:あ、なるほど!やっちゃだ、あれが。やっちゃだ。もうじゃあ、めちゃめちゃああいうSNSが日本で生まれてガラパゴス化してた場合、「やっちゃ」だった可能性……。
九月:全然ある。全然ある。やっちゃ。やっちゃだった可能性あるよ。
コニシ:なるほどなー。
九月:そうそう。だからXじゃないよね。日本版だったら。「甲乙丙丁」とかじゃない?甲乙丙丁って名前のSNSで、やっちゃボタンがあって。やっちゃ!やっちゃ!やっちゃ!って押して。
コニシ:やっちゃを結構押すの気持ちいいかもな。
九月:気持ちいい。1万やっちゃとか嬉しい。いろんな人に応援されてる感じする。
コニシ:確かに。囃し立ててくれてるっていう解釈いいっすね。その「いいね」「グッドボタン」とか言うより。
九月:でも、ああ、でもな、そういなってくるとさ、あの「いいね」来なかった時悲しくない?「今日誕生日だ」って言ったのに、やっちゃ2だったみたいな。
コニシ:囃し立ててもらえない。確かにな。こう「いいね」よりも「やっちゃ」の方が、こう、なんつうんだろう、気持ちが軽いというか、軽い。こう、だからなおさらない時のショックでかいっすね。
九月:SNSっていうよりあっちか。配信アプリじゃない?TikTokとかさ。
コニシ:ああ、確かに。ポンポンポンポン……。
九月:そうそうそう、あっち系はやっちゃに寄り近いんじゃない?囃したてじゃん、それこそ。17LIVEとかツイキャスとか。リアクション系。
コニシ:やっちゃボタンだ、あれ。確かにな。あれはやっちゃか。
九月:あれだってそれこそ、あの、我々の中にある「やっちゃDNA」を刺激しに来てる。
コニシ:あれでも確かにやっちゃ、その声に出して囃し立てることなくても、そういうやっちゃ的なことがしたい欲はあるから
九月:指でやっちゃやってる。
コニシ:なるほどなー。
九月:し、ほら配信なんてやっちゃしやすい企画みんなやるじゃん。大食いなんか顕著だよね。「30分でこれ食えるか」とかさ、そうそう、なんか「4時間勉強します」でもいいんだけど、ピアノの同じ曲をずっと100回弾けるのかとか、そんなんはもうめっちゃやっちゃ待ちですよ。
コニシ:確かになー。やっちゃやっちゃ、あと何分!やっちゃやっちゃ!頑張れやっちゃやっちゃ!
九月:そう、だからやっちゃのDNAは俺たちにもある。
コニシ:確かに。問題はやっちゃって言葉を言わなすぎる。
九月:言わなすぎる。言わなすぎる。
コニシ:でもなんかこう、割と今積極的に使ったじゃないですか。その、結構しっくりくる響きではあるなって感じします。
九月:そうね。なんか「あった言葉なんだな」ってのはわかるね。
コニシ:囃し立てる。
九月:そうそう。盛り上げる。いい言葉だしね。「やっちゃ」って呼ぶのは、もしかしたら流行るかもしれない。でも俺たち今さ、やっちゃに対して肯定的になりすぎてるかも。よく考えてみたらさ、状況によってはやっちゃって言われて腹立つ時あると思うよ。
コニシ:あー、まあ確かになー。
九月:なんか忘年会とかで無茶振りでスピーチ振られて、「やっちゃやっちゃ!」って言われたら結構、やっちゃハラ(やっちゃハラスメント)が生まれるでしょ。
コニシ:あー。逆になんかこうちょっと「はいじゃあ一発芸やってください」みたいなのでやった後に、まあそんなウケなかったとして、先輩とかが一発、「うい、やっちゃ!」
九月:めっちゃ嫌かも!めっちゃ嫌だな、先輩のやっちゃ。太い声で「やっちゃ」。一発だけのやっちゃめっちゃ嫌かも。
コニシ:そうね、嫌だな。良くも悪くもちょっと体育会系っぽいところある。
九月:そうだね。やっちゃは鳴り止まない方がいいよね。もういろんな人が自分を取り囲んでやっちゃって言ってくれる状況は嬉しいけど。
コニシ:神聖かまってちゃん
九月:そうね、ロックンロールは鳴り止まないみたいな感じで。やっちゃ。でもそうだよな、やっぱ先輩のお情けやっちゃ1が一番嫌だね。
コニシ:嫌ですね。お情けのやっちゃ1。なんか「ドンマイ」とかよりも嫌かも。
九月:染みちゃうよね。野球部3年生、思い出代打見逃し三振の後の、PTAの「やっちゃ!」
九月・コニシ:(爆笑)
コニシ:響いたな今。あーって思っちゃうな。
九月:で、ホームラン打ってみんながやっちゃって言ってくれたら本当に「よっしゃー!」ってなるけど。
コニシ:確かにな、やっちゃ結構いろんな表情持ってるな。
九月:そう、言い方、シチュエーションですごい変わる言葉だね。そう考えると。
コニシ:確かにな。すごなんか、あの「エモいやっちゃ」もあるかもしれない。
九月:エモいやっちゃあるだろうね。
コニシ:「何かをやり遂げて帰ってきて、こう抱き寄せた一言……『やっちゃ』」
九月・コニシ:(爆笑)
九月:ああ、いいな。すっごい染みるやっちゃ。あるだろうなー。あるぞ。なんか成し遂げて地元帰って、親に抱きしめられて「やっちゃ」とかね。
コニシ:そうですね。結構まあ、しっとりしたんじゃなくて、もう本当に噛み締めるように、「やっちゃ」ってこう抱きしめてくれるみたいな。
九月:やっちゃは包容力があるのか。嫌なやっちゃもあるし、いいやっちゃもある。
コニシ:ガヤ的なカジュアルなやっちゃ。
九月:やっちゃは様々広くて。だからあれなんじゃない?そうなったらさ、「僕は人にやっちゃっていうのが好きで」みたいな、マジで嫌なやつ現れるよ。
コニシ:ああ、確かにな。「いろんな人にやっちゃって言うこと自体が、人生の意味だと思いませんか?」って。「もう僕癖になっちゃってて。やっちゃって言いたいんですよ。」
九月:嫌だな。
コニシ:「人にやっちゃって言ってたら自分にもやっちゃが集まってくるんすよ」
九月:「皆さんはやっちゃって言ってます?」
コニシ:やだなー、やっちゃ自己啓発やだなー。
九月:「やっちゃでやんなよ」ってのも思うしな。『人生はやっちゃが9割』みたいな本が出てきて。
コニシ:やだなー。
九月:嫌でしょ。やっちゃで説教されるの。
コニシ:いや、なんかこう、やっちゃで金を稼いでほしくない。
九月:そういうんじゃないから。やっちゃ御殿とかやだもんな。「あいつやっちゃで財成したらしいぞ」とか思いたくないもんな。
コニシ:いや、そう。なんかその利益とかじゃないところにあるものであってほしいな、やっちゃは。
九月:そうね。やっちゃは利益と……利害ないやっちゃであってほしい。
コニシ:ひたすらに真心であってほしい。
九月:でもやっぱ世の中そうはいかないから。誰かが目をつけて、「やっちゃなんてお金になるんだから」って
コニシ:あっという間に資本主義に飲まれるんだから。
九月:いや、だからやっちゃなんてさ、言われたらみんな嬉しいんだから、使いやすいのよ。「やっちゃと呼ばれる生き方」みたいな。
コニシ:うわー。確かに。弱ってる時とか本屋でちょっと後ろの説明文くらいちょっと見ちゃうかも。
九月:そうで、みんなが集まってさ、イベントで、なんか講師のやつが偉そうに喋って、最後みんなでやっちゃって言い合って帰る。
コニシ:最後出る時、出口のところで「やっちゃ」
九月:「やっちゃだよー」って。
コニシ:うわ嫌だなー。
九月:嫌だよそりゃ、やっちゃ。
コニシ:なんかこうお花とか育てる時も「やっちゃ」って言ってあげた方がいい、みたいな。
九月:やっちゃと呼ばれた朝顔は綺麗に咲く、みたいな。
コニシ:あるんだろうなー。
九月:太陽の方が大事だから、朝顔は。絶対に。やっちゃじゃねえよってやつあるんだろうな。とか、最近の子は「やっちゃ」って言わなくなったらしい、みたいな。やっちゃ離れとかね。若者のやっちゃ離れ。
コニシ:元々言ってねえし、そんなにみたいなところなのにね。
九月:いやー、あるだろうな。やっちゃ離れだとか。だから、あの歌詞とかにも組み込まれるんじゃない?「ウルトラソウル!やっちゃ!」とか言って。やっちゃって言いながら跳ねてんじゃない?
コニシ:やっぱそう思うと、やっちゃは一撃必殺にはなりづらい……。
九月:なりづらいかもな。そうかもな。そっか、掛け声にはしにくいのか。そっかそっか。学園天国とかも「ヘイヘイヘーイ」とか全部「やっちゃやっちゃやっちゃやっちゃ」って、音悪!
コニシ:粘り気を感じる。
九月:粘り気。全部三連符で。
九月・コニシ:(爆笑)
九月:めんどくさい!ドラムが大変。
コニシ:そうですね。でもなんかこう、あの、そのスポッチャとか、なんかこう商品名、サービス名とかに、なんか組み込まれそうな語感の良さあります。
九月:確かに、確かに、入りやすい。入りやすい。だってやっちゃって言葉が普及して強い言葉だったらさ、スポッチャとか絶対やっちゃフェアやってるもん。
コニシ:やってる。
九月:「スポッチャでやっちゃ」みたいな。CMでも言ってるかもしれないし。
コニシ:「ポコチャでやっちゃ」とか。
九月:ポコチャでやっちゃなってるわー。嫌だなー。ってなったらさ、多分俺たち今割とやっちゃって言葉に好感持ってるけど、広まってたら嫌いだったろうな。
コニシ:確かにな。「やっちゃ系」みたいな。
九月:「うわ、あいつやっちゃかよ」って。
コニシ:「やっちゃ系ファッション」。
九月:いいなあ。「最近マッチングアプリでマッチした人いいやつかなと思ったのに、会ったらやっちゃ系でさー」。
コニシ:「マジかー」みたいな。「マジかよー」って嫌なんだよなー。
九月:いいやつではあるんだけど、やっちゃ系だからどうしていいかわかんないんだよね。やっちゃ系、俺仲良くなったことないからさ。
コニシ:友達としてはたまに会う分にはいいんだけど、なんかこう付き合ったりとかずっと一緒にいるのは、やっちゃ系はあんま考えられない。
九月:同じ家にやっちゃいたらやだろ。そういう話になってるかもしれないもんね。
コニシ:確かになー。
九月:遺言がやっちゃのやつもいたかもしれないね。
九月・コニシ:(爆笑)
九月:「最後に聞け……やっちゃ」って。
コニシ:精一杯の。全身全霊のやっちゃ。
九月:すべてを肯定して終わる。
コニシ:ああ、でもそういうのがあると、やっぱ座右の銘「やっちゃ」とかになるお孫さんとか。
九月:そうね、それ聞いて臨終にね、受け取ったら言うしかないよな。好きな言葉「やっちゃ」って。
コニシ:もう中島みゆきとかも「やっちゃ」って曲を……
九月:「やっちゃ!戦う君の歌を……」
九月・コニシ:(爆笑)
コニシ:すげえこうシンプルなんだけど、染みるんだよなーみたいな言葉になってる可能性がある。
九月:キン肉マンも「ゴー!やっちゃ!」
九月・コニシ:(爆笑)
九月:これは合うな!キン肉マン合うぞ!「ゴー!やっちゃ!」合うぞ。ゴー、やっちゃ!なんかあの世界観と合うな。
コニシ:ちょっとコミカルな感じも
九月:そうねそうね、抜け感があるね、「やっちゃ」は。現状のそういう言葉に比べると。
コニシ:確かになんかこう変にシリアスになりすぎない良さみたいのがありますよね。
九月:その「や」も「ちゃ」も優しいし、抜けてる音だから、それがいいよね。
コニシ:こう、ケセラセラ的な。
九月:ああ、そうだそうだ。ケセラセラが近いな、確かに。そういう抜け感のあるポジティブなエンパワーメントメッセージ。いいかもね、そう考えたら。だからあれなんじゃない、そのこう割と弱者とか、なんていうの、今から立ち上がっていこうって人たちにも届きやすい言葉やからね。強すぎない。だから、その、こう「人生100年時代、老いてからもやっちゃ」みたいな。そういうキャッチフレーズしやすい。
コニシ:確かに。ちょっと最初の入りちょっと身構えるような内容だったけど、「あ、うん、頑張ろう」って素直に思える。
九月:そういう優しさがあるな。
コニシ:確かに、こう何かもう一踏ん張りとかじゃなくて、ちょっと背筋伸ばそうやくらいの。
九月:そうそうそう。いい顔で行こうやくらいの、口角上げようくらいの、そういう優しさがある。
コニシ:確かにな。
九月:やっちゃファッション悪くないのかもね、だから。意外と。ナチュラル系なのかもね、意外と。高円寺とかなのかもね。高円寺がやっちゃなのかも……。
コニシ:意外とそうかもな。だからまあその、ポジティブすぎて、まあちょっと煙たがる瞬間層とかいるかもしれないけど、基本的に、なんか悪いものではないですね。
九月:悪いもんじゃないな。
コニシ:もうちょっとこう斜に構えて見ちゃうことこそあるかもしれないけど、物の性質としては悪い言葉じゃない。こう、陽の成分を持ってるというか、明るいものですよね。
九月:そうそうそう。あのスラムダンクでさ、流川楓と桜木花道がずっと揉めてさ、最後パス通してさ、ハイタッチしてる瞬間に、流川楓が「やっちゃ」って言ったらさ、マジ熱いよ。
コニシ:熱いよ、そのやっちゃ。
九月:普段流川はあんまやっちゃとか言わないから。
コニシ:言わない、言わない。
九月:花道は多分口癖だから。やっちゃって言うからあいつは。やっちゃ系だからあれは。
コニシ:全然言わない流川が、こうボソッとね、
九月:「やっちゃ」。
コニシ:熱ー!流川がそのちょっと移ったというか、触発された感じも熱いし。小声のやっちゃ、心動いた感じ。こうね、後ろ向いた後にね、背中越しに「やっちゃ」。かっこいいな、それは。熱いな。
九月:安西先生が拍手しながら「今のがやっちゃですね」って。熱いよ。
九月・コニシ:(爆笑)
コニシ:逆にその「黒子のバスケ」とかでも、その、そういうのあんま言わない感じで畏まった感じだった黒子とかが、こう仲良くなっていった終盤で「やっちゃですよ」って……。
九月:熱いなー!
コニシ:しっとり真似して使ってくる。
九月:しっとりだよ、やっちゃやっぱ。そういう実は。……多分使い方として、98%は元気に言わなきゃいけないのよ。「やっちゃやっちゃ!」って。でもそれがあることで、2%の弱い「やっちゃ」が染みる。
コニシ:そうですね。カウンターやっちゃがある。
九月:そう。カウンター、サブカルのやっちゃが。サブやっちゃが染みるな。
コニシ:ああ、染みるやっちゃやっぱあるな。
九月:あるあるある。だからいい言葉、結局。使った方がいい。積極的にやっちゃ。やっちゃ。でもなんかお囃子、お祭りとかでね、きっとね。おそらくは、ある種の祭事というか、そういう時にこう、多分おめでたい舞なのか何なのかを見て、「やっちゃー」っていう。
コニシ:やっちゃやっちゃやっちゃ、手拍子しながらとか。
九月:それをもうちょい日常化すると、柔らかい「上げていこうぜ」の言葉になると。
コニシ:だから「やばい」みたいな感じで、「やっちゃー」とか「やっちゃー!」とか言う可能性もありますよね。
九月:ああ、だから変形すんだ。今なんてネットでミームの時代だから。「やちゃい」みたいになるんだ。ちょっと変容してくかもしれないですね。「やちゃいやちゃい」。
コニシ:全然やちゃくない、あいつ、みたいな。
九月:マジやちゃ。ガチやちゃ。やちゃすぎて、みたいな。言いそう。
コニシ:「やちゃぽよ」。
九月:やちゃすぎて滅。ありそう。
コニシ:逆に好きすぎてやちゃの方かも。
九月:あるな。好きすぎてやちゃは全然ある。
九月・コニシ:(爆笑)
九月:やっちゃ、いいな、そう考えたら。応用可能性すごい広い。
コニシ:すごい展開の余地がある言葉ですよね。
九月:あるあるある。いっぱいあるね。そうだ、ネット用語ともすごく相性がいい。そう考えると。
コニシ:軽さも含めて。
九月:ミームになりうる言葉。いいじゃない。
コニシ:いいです、いいですよ。流行りますね。過去一でいい。
九月:じゃあなんで流行ってないんだ、って話になるんですよ。じゃあ。こんなに俺たちで……あったわけですからね、この辞書に載ってる。辞書に載ってるし、俺たちがいっぱい遊び方も思いつくのに。全く知らなかった、「やっちゃ」。何だろうな。何がダメだったんだろう。……ま、一個仮説として。この話の中で俺たち多分もう何回も「やっちゃ」って口にしてさ、気に入ってるけどさ、口の中をウェットすぎるよな、やっちゃは。
九月・コニシ:(爆笑)
九月:ちょっと「チャ」がな。やっちゃ。
コニシ:ちょっとねちょっとするんだよな。なんかね、ねちょねちょ粘り気のある、ちょっと気持ち悪いんだよな。爽快感はないんだよな、口に出してて。
九月:それが問題なのかな。チャ、うん。
コニシ:やっぱ今も残ってる「ヤー」とかに比べると気持ち悪いよね。
九月:「ソレ!」とかね。ソレとかね。やっちゃ、気持ち悪いんだろうな、どうしても。いや、そりゃしゃーないな。
コニシ:やっちゃそこの問題があるな。
九月:そこはちょっとね。
コニシ:あー、どうしてもな。まあこっち側が慣れる以外ちょっと、どうすることもできないから。
九月:ちょっとベロを使いすぎる、口にしながら。「やっちゃ」って。疲れちゃうしね、連呼してると、やっちゃなんて。
コニシ:だからまあ、本当でもたまにちょっと使ってみて、うん、まあこうしっくりくる瞬間があるかもしれない。そういう良さはある。あなたの日常にひとつ「やっちゃ」を添えてみるってのもいいかもしれないですよ。
九月:それがやっちゃかもしれない。
コニシ:それこそが。
九月:それこそが。……粋なね、人生にやっちゃを。
九月:人生にやっちゃを。「やっちゃみたいな恋をした」。
コニシ:月曜日だけど、そんな日こそ「やっちゃ」。
九月:やっちゃ。そういうことだな。
コニシ:はい、というわけで、今回もお聞きいただきましてありがとうございました。今回はやっちゃでした。やっちゃ!というわけで、次回の放送もお楽しみに。
九月:はい、お楽しみに。
九月
コニシムツキ




