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広義苑【#001】雲の脚

2026.04.10


この企画は、芸人の九月と、彫刻家/文筆家のコニシムツキによるラジオ番組です。
辞書を引いて出てきた単語をこねくり回して面白がる。ただそれだけの時間を過ごします。

SpotifyのPodcastでも、ブログ記事としても好きな形で。



コニシムツキ:はい、というわけで始まりました、広義苑。お相手はコニシムツキと、

九月:九月です。お願いします。

コニシムツキ:では早速、辞書を引いて、その言葉について話していくのをやっていきましょう。またページをパラパラっとやっているので。

九月:何が出るかね。あ、分かりました。じゃあ、ストップ。

コニシムツキ:はい。なんだろう、「雲の脚(くものあし)」。

九月:何それ? 雲はスパイダー(蜘蛛)?

コニシムツキ:これがですね、僕も初めて見ましたね。空に浮いてる方の「雲」。

九月:ああ、クラウドの方の。

コニシムツキ:の脚。まあ脚は、椅子の脚とかの脚ですね。

九月:難しい方か、月(にくづき)編の「脚」?

コニシムツキ:そうですね、月編の。「雲が動いて過ぎていくこと」。

九月:へえー。

コニシムツキ:雲脚(うんきゃく)、雲足(くもあし)。

九月:雲脚、雲足と言われても。どうせ漢字並べただけでしょ?

コニシムツキ:まあ、雲行きとか、そういうあれに近いんですかね。

九月:でもどういうこと? 移動した時の名残?

コニシムツキ:例文がですね、歌というか、詩なんですよね。「野分(のわき)だつ 露(つゆ)ふべの 雲の脚速み」。

九月:ああ、「流れ」ってことか。

コニシムツキ:そうです。雲の動きそのものを、雲の足、歩みみたいな感じで言ってるんじゃないですかね。

九月:動きなんだ。結構物理的なというか。

コニシムツキ:雲の動いて過ぎ行くこと。

九月:へえ。だから、たまに風がめちゃ強くて、外で「今日雲早いな」っていう時に、「今日雲の足が早いな」みたいな。

コニシムツキ:そうですね。「雨足(あまあし)」とか言いますね。

九月:雨足が強まる、って言うなあ。それの雲版。

コニシムツキ:天気とかの物理的な勢い、動きのことを足で言うんですね。

九月:雨足の足ってさ、簡単な方の「足」じゃない?「足りる」の方な気がする。

コニシムツキ:確かに。雲はこの月編の、レッグ(Leg)の方のいかつい「脚」ですね。鶏肉とかの意味の。ちょっと調べてみます。

九月:お願いします。何でも体で例えるなぁ。

コニシムツキ:あ、でも、両方とも載ってますね。難しい方と簡単な方。

九月:はいはい。雨足はどっちもあって。

コニシムツキ:で、雲の脚はもう、難しい方の「脚」だけなんですね。

九月:そうですね。

コニシムツキ:雲脚じゃなくて「雲の脚」っていう、「の」が入るっていうのもポイントかも。

九月:あ、それはでもあれじゃない? 雨って現象じゃないですか。降ってる一粒一粒を指して雨って言わない。全部が降ってる様が雨だけど、雲は「あれが雲だよ」って指差してると言うか。

コニシムツキ:確かに、物体っぽいというか。

九月:物体っぽいから区切りやすい。だから「雲の脚」に見えてる感じなんじゃないかな。

コニシムツキ:でも字面で言うと、なんかちょっとクリーチャー(怪物)っぽいですよね。

九月:クリーチャーっぽいね。飛行機雲が意志を持ってわさわさ動いてるみたいな。解けないまま残っちゃった雲とか、飛行機雲、たまに見たよね、ちっちゃい頃。

コニシムツキ:季節を感じますよね。

九月:風強い時期じゃないと雲の足が気にならない。

コニシムツキ:ふわっとした雲というよりかは、ちょっと夏っぽい、ゴロッとした雲の方が「動いてんなあ」って感じがするのかな。

九月:なるほど。確かに雲が動いてる感が出るためには、いくつか要素が必要で。一つの空にいくつも雲があって、上空の雲と低い雲がないと速さが際立たないと思うのよ。

コニシムツキ:そうですね。

九月:で、夏とかって温度が高いから上昇気流が起こりやすくて。積乱雲、入道雲みたいな積み重なったやつがあるから、ちっちゃい低い雲が速く見える。それが「雲の脚」を成立たらしめてる。

コニシムツキ:これって季語だったりするんですかね。

九月:夏の季語? あー、なるほど。これ俳句界隈の方に聞かないと。でもありそうだな。

コニシムツキ:例文も詩っぽかったから。

九月:詩の言葉な感じするね、「雲の脚」。

コニシムツキ:あ、でも季語に分類はされてないみたいですね。

九月:季語ではないんだ。

コニシムツキ:春の雲、夏の入道雲、秋のいわし雲とか、いろんな雲があるから。

九月:なるほど。雲が季語になる地域って、一部の特殊な気候の地域だけでしょ。夏はずっと晴れてて、冬ずっと雨の赤道近くの雨季乾季のところは雲が季語だろうけど。

コニシムツキ:でも、いい詩になりそうですよね。雲の速さに言及する短歌とか俳句って。

九月:確かに。でも「雲の脚」で「5(五音)」使っちゃうじゃん。俳句・短歌・川柳を本業でやってる人間じゃないからわかんないけど、「5」消費する言葉って使いにくい可能性ない?

コニシムツキ:そうですよね、そこでもう一区間潰しちゃうし。

九月:あと、体言止めしかできないじゃん、「5」使うってことは。字余りをしたくないとするならば「雲の脚を」とか言いにくい。

コニシムツキ:確かに。

九月:体言止めって、うまく決まればかっこいいけど、ダサい体言止めは山ほどあるじゃないですか。

コニシムツキ:ダサい体言止め(笑)。

九月:もちろんプロの方が意図して狙いを持ってやることもあるでしょうけど、どうしても体言止めが多い文章を見ると、中学生の「ちょっと自分は文章書けますアピール」したいやつのブログって感じがするんですよ。あいつら体言止めするから。一個しか工夫を知らないから。俺もそうだったから、だからこそなんですけど。

コニシムツキ:なるほど(笑)。

九月:みんなが書く「です・ます」調の優等生作文とは俺は違うぞ、っていうのを差別化するために体言止めで飲み表す。覚えている技がそれしかない。本当はもっと擬人化とか色々テクニックあるけど、できないし知らないから。引用もできないし。結果的に「体言止めお化け」になるやつ、いっぱいいたじゃん。

コニシムツキ:それを乗り越えたやつだけが扱える「雲の脚」。

九月:体言止めという一種のストレスを乗り越えて。「ダサく見えたらどうしよう」がチラつくからなあ、体言止め。

コニシムツキ:俳句界隈とか短歌界隈の中でも「この技法はちょっとシャバいよね」みたいなの、あるんですかね。

九月:あるって聞いたよ。もちろんあえて使うのがいい時もあるでしょうけど、基本「五・七・五・七・七」の定型はある程度守った方がいいとか。「自由律ぶった透かし方するなよ」みたいな。

コニシムツキ:よっぽどじゃないとやっちゃダメだよ、と。

九月:歌人の方が言ってた。あとは、五・七・五・七・七で読んだ時にそこに区切れてる感があったほうがいいみたい。たまに無理やり長い言葉を「五・七」で読んでね、みたいに句跨がりさせて。

コニシムツキ:分けたら五・七・五にはまってるけど、全部で何文字ですよ、みたいな。

九月:とかは、ちょっと嫌われるらしいよ。キャンピングカーを「キャンピング」で5文字切って、「カーに乗ったら」とかでやると、ちょっとシャバい。そのノイズを使いこなせるならいいけれど、使いこなせずにやってるならシャバいだけだよっていうのは聞いたことある。

コニシムツキ:テンポがズレてんのか、変拍子を使いこなしてんのかっていうのが技法として成立しているかどうか、みたいな。

九月:チャットモンチーの「シャングリラ」のサビの変拍子とか、気持ちいいじゃん。あれはやっぱやりすぎてないし、節度のある変拍子。あそこは絶対そのほうがいい、っていう。それを間違えると大変なことになる。俺らが大学生の頃とか、Syrup16gに影響を受けた曲作るやつ、山ほどいたでしょ。

コニシムツキ:確かに。

九月:シロップとか9mm(Parabellum Bullet)とかに影響を受けて難しい曲作ろうとしてボシャる。

コニシムツキ:聴いてる側がただ聴きづらいだけの変拍子。ノレないっていう。

九月:文化祭とかで並ぶと、そいつらよりも、ただただ「いきものがかり」を弾き語ってるやつの方が盛り上がったりするじゃない。いかんせんアコギいきものがかりの方が聴きやすいから。

コニシムツキ:結局、聴きやすさの方が大事なんですよ。文化祭って大体コピーバンドなんだから。

九月:文化祭はみんなが知ってる曲やったほうがいい、マジで。どの時代にもBUMP OF CHICKENとチャットモンチーはいるし、いたほうがいいし。バンプとかでも知らない曲やらないでほしい。「カルマ」「天体観測」をやってくれと。昔の「バイバイサンキュー」とかやるな、あんまみんな知らないから。

コニシムツキ:B面曲やんなよ。お前が好きなのかもしれんけど、あんま我(が)を出すな、っていう。

九月:キャッチーさって、人に何かを見せる、届ける時に軽視しがちだけど大事だよね。文化祭の曲の選択もそうだし、今の体言止めの話も、季語のチョイスもそうなんだろうね。

コニシムツキ:そうですね。

九月:詩に関して、最近読んだ詩論の本で「詩を読むのは詩人だけだ」みたいな原説が業界にあるんだって。

コニシムツキ:ほうほう。

九月:結局、今「詩」っていうのは詩人が仲間内で読むだけの狭いものになってしまってないか、それはどうなんだい、みたいなのが書いてあって。

コニシムツキ:問題提起ですね。

九月:本来は開かれていくべきなんじゃないかと。それで言うと、仮に「雲の脚」が季語だとして、それで俳句詠むやつがいても、俳人が「おお」って思うだけで、外と全然馴染んでないですよね。

コニシムツキ:確かにおしゃれな響きなのに、日常に残ってないですよね。「雨足」とかは全然使うけど。

九月「足が早い」っていうのは、物が腐ることとかにも言ったりするよね、野菜とか魚。だからそもそも「足が早い」って言い方自体はポピュラーですよね。単に陸上部だけに言う言葉じゃない比喩として残ってる。

コニシムツキ:その上で「雲の足」は言わないんだ。

九月:小松菜とかの方が言われてる。小松菜に言うよりおしゃれなのになあ。

コニシムツキ:葉物の中でも足が早いと言われてる。

九月:でも、小松菜が腐ったなあっていう比喩よりも、「今日雲早く動いてるな」の比喩の方が絶対多いじゃない。頻度で言ったら「雲の足」の方が言っていいのに。

コニシムツキ:それって、僕らが空を見上げてないって話じゃないですか?

九月:そうね。雨は自分の手元まで来てくれてるから「雨足が強まった」とか言うし、当事者だから困るじゃない。雨足強くなる前に電車乗ろう、とか。でも雲って一端(いったん)関係ないから。見えるだけ、美しいだけでしかないもの。やっぱり気に留めなくなっちゃったんだろうな。

コニシムツキ:雨足と小松菜の足は気になるのに、自分に被害があるものは気にする。

九月:切ないなあ。でも、こういう捉え方もある。昔の人は楽しいことがなくて「雲の脚」ぐらいしかなかった可能性はある。「雲早えなあ、面白」って。俺たちは「YOASOBI」を聴けばいいから、ずっと楽しい。

コニシムツキ:YOASOBIの方が楽しい(笑)。始まって終わるまで全部気持ちいいから。

九月:やっぱAyaseはすごい。多分、俺らと同世代ぐらいじゃない。俺らが青春時代通ってきた音楽を消化して新しい時代のものにするみたいな、あんな100点出されたら「もういいよ」ってなるよな。

コニシムツキ:超食べやすいですよね。

九月:味も美味い。Ayaseとか米津とか、あの辺の「なぶな(n-buna)」とかさ、天才すぎる。

コニシムツキ:あの辺っていわゆる売れすぎて、J-POP的な立ち位置を手にしたあまり、逆にシャバがられることもあるじゃないですか。

九月:そういうこと言う人もいるね。でも、上手いもんは上手いよね。シャバい見方っていう見方ができるっていうだけで、すごいんだから。

コニシムツキ:そうなんですよ。

九月:コブクロとかいきものがかりとかも、味は美味いだろう、好きか嫌いか置いといて。コブクロに関して言うと、背低い方の小渕(こぶち)さんが曲書いてるけど、「お前その言語感覚すごいな」って時がある。

コニシムツキ:そうなんだ。

九月:ワンフレーズの言語感覚で言うと、たまに「GRAPEVINE」とか「the pillows」に匹敵するやつがある。

コニシムツキ「こういう見方してんねや、もの」みたいな。

九月:そう、言い方とかじゃなくて、見方。子供の頃の楽しかった思い出とかを描く時のワンフレーズで「小さな神様の群れを見た風の放課後」っていうのがあって。

コニシムツキ:すげえ!

九月:すごすぎない? グレイプバインじゃない? 小さな神様の群れ、見たことあるじゃない、みんな。それを言えるのすごない?

コニシムツキ:すごいなあ。

九月:小さな神様の群れを見るんだよ、子供は。グレイプバインだよ、もうそれは。

コニシムツキ:めっちゃ大御所の歌詞感ある。曽我部恵一とかが書いててもおかしくない。

九月:キリンジでもおかしくない。ドラマ主題歌とか映画主題歌やるってなったら、作品に寄り添うとかヒットに貢献しなきゃいけないからポップスしなきゃいけないとは思うけど、リミッター外したらああいう人たちすごいんじゃないかな。初期のコブクロとかわざわざ聴いたことないもん。タイアップ以前のインディーズの頃とか、ファンからしたら伝説曲があったりするでしょうし。ゴリゴリのボブ・ディランっぽい曲作ってるとかあり得るもん。

コニシムツキ:ルーツそっちなんだ、みたいな。

九月:コブクロ、スキマスイッチ、ゆずとかはMr.Children継承者系じゃない、文脈で言うと。ミスチルのポップス的な部分を継承しようとした世代というか。だとしたら原流はU2とかになるんじゃない?

コニシムツキ:ミスチルあたりとかスピッツあたりが結構海外のUS・UKの……

九月:U2然り、Radiohead然り、コステロとか引っ張ってきてるから。戻るとそうなるよ。ミスチルの昔のアルバムで、一曲めっちゃニルヴァーナ(Nirvana)っぽい曲あるんだよ。「深海」っていうアルバムの「シーラカンス」って曲。リフがもう完全にカート・コバーンみたいな。

コニシムツキ:ありましたね、確かに。

九月:歌い方もカート・コバーン好きそうな感じ。インタビューか何かで桜井和寿さんが言ってたのが、売れる曲を作るために必死だったと。周りは「そんなんじゃなく自分の表現したいことやれよ」みたいに言ってくることもあったけど、自分は音楽しか仕事できないと思ったから、死なないためにも書かなきゃいけなくて。

コニシムツキ:仕事としても成立させなきゃ、と。

九月:ずっと怖かった、みたいなこと言ってて。だからやっぱり、リミッター外した桜井和寿すごいんだろうな。

コニシムツキ:今でもたまにアルバム曲ですげえ変な曲ありますよね。

九月:「アート=神の見えざる手」だっけ犯罪者の独白みたいな曲。

コニシムツキ:そうそう、犯罪者の独白みたいな曲。すげえ変な曲出してきた、みたいな(笑)。

九月「桜井以外は何やってんだろ」っていう、打ち込みベースで桜井が喋るみたいな。バンドの曲じゃないだろっていうやつ。あれやりつつ、めちゃめちゃポップなラブソングとかもやりますから。両方できる、ジキルとハイドみたいなことなんだろうな。

コニシムツキ:そうですね。

九月:戻ると、「雲の脚」がそんなに馴染んでない、視野に入りづらい言葉じゃないですか。これを短歌とかで使えてたやつは結構テクニック側やったのかな。

コニシムツキ:テクニックタイプだろうね。聞いたことない言葉、硬い言葉、古めかしい言葉を入れ込むのが一番難しい。絶対ノイズになっちゃうから。

九月:俺、その短歌の仕事を今、年一ぐらいでやってて、忘れた頃にやるんだけど。

コニシムツキ:年一(笑)。

九月:毎回困るの、言葉の選択。最近よく聞くのが、短歌が大喜利化してるとかネタツイっぽいのが多いとか、ボケが入ってる口語っぽいの。流行ってはいるけれど、そっちに寄せすぎるのもなんか違うのよ。俺、芸人として短歌の仕事引き受けるから。

コニシムツキ:又吉(直樹)さんとか、せきしろさんとか、あの辺のちょっとユーモアのある自由律みたいなの、先駆けであるから。

九月:普通には詠みたい。難しいのよ。言葉が浮いてもいけないし、大喜利すぎてもいけない。だから「雲の脚」なんて俺は使ってらんない。

コニシムツキ:いつか九月さんの短歌を見て「雲の脚、あ、こいつ使ったぞ!」っていう瞬間が来るかもしれない。

九月:一皮剥けた瞬間ね。ネクストステージに行ったら使うけど、それまで使えない。世の中のたいていの歌詠みなり物書きなりが、俺と同じような感じだったから「雲の足」が廃れたんだよ。使いこなせるやついなかった。みんな俺と同じ判断してたんだ、全員。

コニシムツキ:なるほど。

九月:だってアンパンマンのマーチに出てこないもん、雲の足ってワード。やなせたかしも「使えないな」と思ったのよ。藤子・F・不二雄もやってない。

コニシムツキ:ブルーハーツの歌詞とかでもそうですね。出てこなさそう。分かりやすい歌詞を目指してるバンドほど。

九月「雲の脚みたいに美しくなりたい」。……まあ、写真に写るしな、雲の脚は。

コニシムツキ:使い所が難しかったんだろうな。

九月:気づく人も少ないから共感もされづらい。すごくいい要素いっぱい持ってるんだけど目立ちにくい、メインのおかずにはなりにくい。小松菜ですよ、雲の足は。でも小松菜の方が足が早いし、流行ってるし、全然美味い。

コニシムツキ:ポジションだけで言うなら副菜も副菜、クラゲの梅肉和えとかかも。

九月:そっちやなあ。たまに好きなやついる、鶏の肝煮みたいな。店で置いてるところもそんなにない。好きなやつが家で勝手に作ってる、しらすおろしみたいな。

コニシムツキ:そうですね。美味いけど、普通はそれの素材があったとしても、別の料理に使うわ、っていう。

九月:季節も旬がわからん。お酒なのかご飯なのか。

コニシムツキ:雲の脚は忘れられた小鉢やったね。おせちにも入らず。

九月:雲脚(うんきゃく)、雲足とも一応あるから、雨足的な言い方もできりゃあできるのかな。

コニシムツキ:雲脚っていうのがまた、こっちは使い所が全く想像できないですね。「雲脚が速いですよ」じゃなくて「その雲脚の速さのごとし」。

九月:全然ピンとこない。その信玄負けるもん、「雲脚の速さのごとし」だったら。牛歩も牛歩。

コニシムツキ:まあ雲の足は、素敵なものではある気はするけど、使い手の腕次第だね。ポテンシャルはあるけど。

九月:とか言いながら、この言葉、俺たちが知らないだけでみんなバンバン使ってたらマジで恥ずかしいね。俺たち以外みんな知ってて、「雲の足ね」って。これ聴いてるやつらが「こいつら何を言ってるんだ、使うだろ」ってなってたら。

コニシムツキ「ほら、今日とかもさー」って(笑)。

九月:「何をこいつらは無学な」って。このポッドキャストそのリスクあるんだ。

コニシムツキ:そこは腹括って、一単語ずつ無知を埋めていく気概でいきましょう。

九月:ちなみに、X(旧Twitter)で「雲の足」の用例探してみたんですが。

コニシムツキ:使ってる人いんのかな。

九月:少なくとも僕の検索で見れるものだと、ここ半年はいないです。

コニシムツキ:ああ、安心した。

九月:去年の夏に、「いきなり土砂降りだけど、雲の足が速い」って言ってる、正しい使い方の人が一人。すごい、雨じゃなくて雲の方の速度。

コニシムツキ:教養のある方ですね。

九月:雨足って雨が垂直に降ってくる量とか速度、勢いだけど、雲の足だったら並行移動の方だから。雨がすぐ止むかどうかに直結するから、文脈として合ってる。8月に一人、あと7月にも一人いて、「今日は雲の足が速かったです」って。

コニシムツキ:使ってる人は使ってるんだな。

九月:ただ分かったぞ、廃れた理由。雲の足ってので、「雲の下部(かぶ)」って意味で使ってる人が結構いる。半年に一人くらい。「雲の足が山に当たってる」みたいな。擬人化というか。それとぶつかるから、誤解される可能性がある言葉。なので流行らなかったはあり得るよね。今マジで安心したわ。年一なら全然オッケー。よかった、毎日みんな言ってる言葉だったら恥ずかしいもん。

コニシムツキ:セーフセーフ。

九月:じゃあそんな、雲の足という言葉でした。散々喋ったけど、こんだけ考えたけど、今後使っていこうと思ってないもん。

コニシムツキ:別にクラゲの梅肉和え、食わなくてもいいかなっていう。それがこの言葉のポジションなんでしょうね。

九月:というわけで今回の単語は「雲の足」でした。次回の放送もお楽しみに。ご視聴ありがとうございました。

九月・コニシムツキ:ありがとうございましたー。


九月

生年月日 : 1992年9月21日
出身   : 青森県八戸市
経歴   : 八戸高校卒業
       京都大学教育学部卒業
       同大学院教育学研究科修士課程修了
職業   : 芸人
所属   : フリー
趣味   : 散歩、読書、音楽、美術、野球観戦
特技   : いつでも30分で2000字書ける
好物   : カレー、ラーメン、コーヒー、ドライフルーツ
長所   : 根性、体力
短所   : まぬけである


コニシムツキ

生年月日 : 1997年1月18日
出身   : 愛知県名古屋市
経歴   : 北海道おといねっぷ美術工芸高等学校卒業
       京都芸術大学美術工芸学科総合造形コース卒業
職業   : 彫刻家/文筆家/hoge代表/ex.yuge(Dir.)
趣味   : 読書/映画/音楽/ゲーム/美術/ガジェット
特技   : 相槌
好物   : 肉豆腐/揚げ出し豆腐/冷奴
長所   : 面白がり
短所   : 面倒くさがり

九月

コニシムツキ