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広義苑【#002】平針

2026.04.24


この企画は、芸人の九月と、彫刻家/文筆家のコニシムツキによるラジオ番組です。
辞書を引いて出てきた単語をこねくり回して面白がる。ただそれだけの時間を過ごします。

SpotifyのPodcastでも、ブログ記事としても好きな形で。



コニシムツキ:はい、というわけで今回もやっていきましょう。お相手はコニシムツキと、

九月:九月です。よろしくお願いします。

コニシムツキ:じゃあ今回も早速、辞書引いていきましょう。はい、ストップお願いします。

九月:ストップ!

コニシムツキ:はい。……「平針(ひらばり)」。

九月:ひらばり? なんかのやり方だな、おそらく。

コニシムツキ:平針はですね、「平たい針」。

九月:は? あ、針はあれか、ニードルのね。

コニシムツキ:そうです。ニードルだ。「刃針(はばり)」の別称。

九月:刃針はどう書くの?

コニシムツキ:刃(やいば)の針です。

九月:ああー。平針なんなの? 裁縫ってこと?

コニシムツキ:まあ確かに、そういうこと?

九月:裁縫の言葉なの? 俺、全然門外漢もいいところ。

コニシムツキ:ちょっと刃針の別称って出てるんで、刃針の方も見てみますか。

九月:刃針、俺全然知らないぞ、針の業界。

コニシムツキ:確かに。刃針の別称……そういう、針の種類気にしたことなかったな。裁縫も手術もしないし。

九月:うん。日常的に使わないね、針。最後に針持ったのいつだろう。……リュック直した時か。リュック直した時だから、2年ぐらい前じゃないかな。結局持たなくて捨てちゃったからな。裁縫なんて、もう随分やってない。家に裁縫セット、俺ないと思うもん。

コニシムツキ:確かに。そうだな。

九月:そうそう。あん時もなんか買いに行った覚えある。100均のなんか。

コニシムツキ:あの、裁縫セットのプラスチックのケースって、なんで薄ピンク色なんですかね。

九月:誰もいいと思ってない色(笑)。あったなあ。

コニシムツキ:そう。……あ、刃針出てきました。

九月:うん。

コニシムツキ:刃針。えー、「外科用の小さい刃物。平たい両刃の先が尖っているもの。ランセッタ、ランセット」。

九月:外科用!? ってことは完全に手術?じゃあ知らないわけだよ。

コニシムツキ:まあ、ちょっとメス的なあれなんですかね。

九月:ああー。じゃあ、よかった、わかんなくてよかった。裁縫じゃないじゃん、じゃあ。

コニシムツキ:で、中国の針の一種。両刃で先端の尖った針。

九月:え、中国の外科? 切開、瀉血(しゃけつ)に用いる。東洋医学ってこと?でもランセッタはおそらく外来語の、中国じゃない言葉ですよね。

コニシムツキ:そうですね。まあ、どこの、どのところでも、やっぱ手術とか外科作業の時に、そういう道具は使ってた、どこも作ってたってことですね。

九月:で、それの結構強めの針ですよね。かなり強い。うわ、わかんねえ。鋭いやつ。

コニシムツキ:はあ、すごいな。平針。今までの人生で登場したこともないし、多分今後の人生も、僕らが直接当事者として関わることはない。

九月:ないね、今後どうやってもない。すごいな平針。そんな、まあ針もそりゃ種類あるか。なんかあれに近いな。美容院とかでさ、何個もハサミ持ってる人いるじゃないですか。「何に使うねんお前」みたいな。素人感覚やとさ、普通のハサミとすきバサミがあれば事足りそうなものをさ。

コニシムツキ:二つしか思いつかないですもんね。

九月:思いつかないのに、四つ五つさ、腰にぶら下げてる兄ちゃん姉ちゃんいるじゃない。あれに近いね。

コニシムツキ:かっこいいんですよね。

九月:名前があるんだろうな、おそらく。最近はさ、レイヤーつけるみたいな、段つける時に使うさ、ハサミじゃないやつあるもんな。なんか彫刻刀みたいな形の。シュッシュッてカミソリにも近いような。

コニシムツキ:ああいうなんか専門の道具みたいのって、ちょっと憧れますよね。

九月:憧れるよね。その人が手に職をつけてることの証だから。俺覚えてるぞ、中学の頃に一回、あ、高校か、自分で髪切ろうと思って、普通のハサミとすきバサミは持ってたんだけど、あの、なんていうの、カミソリタイプっていうの? それこそレイヤーつける用みたいなやつを買ったことがあって。で、その、本当に形状で言うとピーラーとかにも近いようなやつで。なんかそういうアイテムってさ、結構安めに手に入って、かつ、自分ちょっと強くなった感じするというか。「俺これ持ってるぞ」って感じ描けるじゃないですか。で、それで自分で髪切ったんすけど、使い道マジでわかんなくて。あの、ごっそり全部なくなって。

コニシムツキ:ああー。

九月:びっくりして。一太刀で全部根こそぎ行かれて。

コニシムツキ:そうっすよね。

九月:どうしていいかわかんないから、一旦親に「こういうことになった、どうしたらいいと思う」って言って。そしたら「一旦美容院行きなさい。そっから直すのは自分じゃ無理だから」って言われて。

コニシムツキ:プロに任せて。

九月:そうそう。で美容院に行ったわけですよ。「こうこうこういう事情でやっちゃったんすよ」って言ったら、「あ、そうなんですね、じゃあちょっとやっていきますね」ってパサパサ切ってもらって。で、その美容院の方、偉いもんで、色々道具のこと教えてくれて。「どういうのを使ってたんですか、こういう手に持つピーラーみたいなやつで」って言ったら、「あー、それね、俺まだ使えないやつですよ」みたいな(笑)。

コニシムツキ:だいぶ飛び級してた(笑)。

九月:多分結構難易度の高いやつ。俺も使わないっすよそれ、みたいな。「あ、そうなんですか……」って。

コニシムツキ:なるほどね。

九月:あるからなそういうの。平針もどのポジションかわかんないもんね。初心者向けなのか、上級者向けなのか。

コニシムツキ:普通のメスともまたちょっと違う感じかもしれない。

九月:両刃って書いてあるぐらいだから、多分高度なやつな気するけどね。いや、あるよな、知らないで手にしちゃう……。俺たちもさ、何かの拍子に手術とかしなきゃいけないってなってさ、人が誰もいないとか、目の前で医者が倒れたとか、わかんないけど。そん時に知らず知らずに平針手に取る可能性あるもんね。使い道わかんない針。怖いよ平針は。……うちの母ちゃんも似たようなことやってて。俺が小1でさ、地元が青森なので、授業でスケートがあるんですよ。で、スケート靴をまあ、買う家が多いのかな、おそらく。借りることもできるけど、毎回借りると結局結構お金なっちゃうから、買ったほうが安い、みたいな。

コニシムツキ:まあ使うだろって。

九月:で、基本全みんなフィギュアのスケート買ううんですよ。フィギュアスケートが一番滑りやすいんですね。それこそ羽生くんとかみたいな、くるくる飛んでジャンプとかは難しい、無理だけど、ただ滑るだけなら、フィギュアスケートの靴だったら結構誰でも、一週間頑張ればスイスイ滑れるようになるまでにはなるっていうのがいいところなんです、フィギュアスケートって。だけど、うちの母ちゃんそういう事情知らなくて。母ちゃん買ってきたのがね、スピードスケート用の靴。スピードスケートはマジ立てないんすよ、あれ。マジで。

コニシムツキ:前へ前へに特化したやつなのか。

九月:そうそうそう。フィギュアはできる前提で、速さを追い求めるやつの。

コニシムツキ:あー、やっぱ違うんですね。

九月:全然マジで立てなくて。で、なんかスケートの授業って、青森においては多分全国で言うところのプール的なポジションなんすよ。要はその、顔水につけれないのちょっと恥ずいとかあるじゃん。スイスイ泳げるようになるのが一人前、みたいな。

コニシムツキ:ちょっと息継ぎが下手とか。

九月:そう、息継ぎ下手だとちょっと運動部のくせにみたいにあったりするじゃん。で俺さ、マジで立てないのが俺だけで。でその「違うんだ靴が違うんだ」って思いながら。「これは止まらずに前に進み続けるための道具なんだ」って。

コニシムツキ:これは俺が悪いわけじゃなくて(笑)。

九月:だけどみんな分かってくんないから。みんな足なんか見てくれないから。「あいつずっと転んでるな」みたいな。すごい嫌な思い出ある。そうそうそう。

コニシムツキ:いや確かに。そこ知っとかないとなんでできないのかもわかんないからね。母ちゃんに平針を渡されて、平針で手術させられてた。

九月:そうそうそう(笑)。上級者になる時にね、フィギュアから始めて、スピードタイプに行くならスピードスケートで、もっと縦横無尽に滑りたいならホッケーなんですよ。アイスホッケー用のやつ、丸まってるやつ。アイスホッケー用のはブレーキとかカーブとかがしやすいみたいな。

コニシムツキ:へー、面白い。

九月:横移動、スポーツの特性でしなきゃいけないから、それに向いてるみたいなやつで。ホッケーも結構止まりにくい、立ちにくいやつなんですけど、スピードスケートほどじゃないだろうな、多分。速さ特化の。薄いんだよね、スピードスケートは薄いの。摩擦をいかに少なく、薄く。今思えば多分止まるコツはあんのよ。多分薄い細いやつだから、足を斜めにしたら止まると思うの。それ用の動きをしなきゃいけない。おそらくはね。でもそんなの知らないから。先生も知らないから。

コニシムツキ:授業なんて、止まって話聞いてる時間のほうが長いんだから(笑)。

九月:そうなの。だから本当にあれは大変だったね。……あれ平針だったんだ。

コニシムツキ:いや確かにな。なんか彫刻刀とかもさ、小学校の頃使うじゃないですか。でもあの、三角刀とか丸刀とか一番使うけど、その一番シンプルな基礎っぽい顔してる「切り出し」使うところマジでわかんない。

九月:あったあった(笑)。三角、三角が一番使うもんな、なんだかんだ。

コニシムツキ:切り出しその、二回やんないと三角刀的なあれができないし、そんなそこをちまちまと調整するような作業を小学生のガキが版画でやんない。

九月:そう。やるわけないから。

コニシムツキ:なんかあるな、そういう上級者向けのが隠れてましたのケース。

九月:そうなんですよね。俺もそれこそ、初めて買ったギターが、フェンダーのムスタングだったんだけど。

コニシムツキ:あー、確かに。ちょっとまあ、変化球というか。

九月:使いにくい。すごい使いにくい。

コニシムツキ:すぐ弦のチューニングずれるぞ、みたいな。いや確かにな。ギターとかあるあるっすね。見た目かっけーの使いたいっすもんね。

九月:そう、見た目かっけーのと、ムスタングを好きなバンドマンがもう山ほど使ってたから。「これだ!」って思ったんだけど、オルタナ系とか多いし。考えてみればオルタナだからムスタング使ってるんだよな(笑)。黙ってストラトを買えばよかったっていうのを、知らなかったんだよ俺は。

コニシムツキ:そうなんですよね。なんかああいうのって大体一番最初に、ちょっと変化球めのやつを見て「なんだこの形、他と違うぞ、かっこいい」ってなって買ったりして、なんか続けていったとして2、3年後、4、5年後に「あれ、ストラトが一番かっこいいんじゃないか?」ってなるんですよね。

九月:そうなんだよ。で、俺は、そういう失敗を人生で何回もしてるので。ギターで言うとさ、やっぱ結局ムスタング買ったんだけど、ムスタングでまだよかったと思ってて。他にも候補がいくつかあって。「フライングV」とか(笑)。

コニシムツキ:はいはい。文字通りでV字型のね。

九月:使いやすいわけないんだ、あんなもん。

コニシムツキ:膝のどこにも乗せられない。

九月:そうなんよ。知らないで買っちゃうっていう。それこそだから、フライングVが平針よね。

コニシムツキ:確かに。ギター界の平針。

九月:刃(やいば)みたいな形してるもんな、あれ。かっこいいんだけどね。おしゃれなんだろうけど。

コニシムツキ:別にその、メタルっぽい人じゃない人が使ってんのもまたかっこいいんですよね。

九月:かっこいいね。メタルじゃないのにフライングV、たまにある。とかあと7弦とか12弦とか。いいっすよね、ごっついやつ。

コニシムツキ:東京事変のギタリストの浮雲さんとかが、あんなハイカラなバンドで、ペイズリー柄のフライングVを澄ました顔で弾いてたりとかするんすよ。あれめっちゃかっこいいんですよね。

九月:いやあるよな、そういう道具選びに出るかっこよさってあるよね。the pillows(ピロウズ)のベースの人がさ、いいベースでいい音が鳴るのは当たり前だっつって、Squier(スクワイヤー)なのよ。

コニシムツキ:あー、そうですね。

九月:めっちゃ良くないそれ? スクワイヤーのジャズベースを。だからフェンダーの廉価モデルというか、大学生とかが買ってね、みたいな、高校生とかがお小遣いで買えますよの価格設定のやつ。

コニシムツキ:入門用モデルのね。

九月:でプロがやってるのかっこいいよな。もう5万とか、行っても8万とかそのぐらいの価格。バイトで買える感じ。……さっきごめん、俺「お小遣い」って言ったけど、家庭によるわ。俺買えなかった(笑)。お小遣いではスクワイヤー買えなかった。5万だ、5万オーバー。

コニシムツキ:そうだよな、やっぱその、筆を選ばずというか。

九月:弘法……弘法の話だもん、それマジ参考になんだいって。「弘法筆を選ばず」みたいなさ、弘法がいないんだって世の中に(笑)。俺たちは弘法じゃないんだから。あれマジ何のためにもならないよな。なんかいいように説教しやがってあれで。「弘法は筆を選ばないから、お前も道具で言い訳するな」。じゃあ弘法じゃないんだって。になれたら、そら俺もそうやって言うだろうけど。でその話してくるやつ、得てして弘法じゃないし。

コニシムツキ:確かに。弘法が言うならいいけどね。

九月:浮雲が言うならしゃあない。道具で言い訳しちゃいけない、みたいに言われたら「ごめんなさい」って言うけど。浮雲は言わないもんそんなこと。浮雲は多分ギター初心者の子にはパシフィカ(YAMAHA Pacifica)とか勧めるもん。弾きやすいよって。価格も安くても一番いいんだからって。奥田民生も使ってるよって言ってくれるんだから。

コニシムツキ:そうだよな、そういうのあるよな。

九月:……だから平針がやっぱどのポジションなのかめっちゃ気になります。今んとこ俺たちは、ちょっと「暴れ馬」前提で勝手になってるけど。マニアックな暴れ馬という前提で言ってるけど、めっちゃ一番使うやつとかだったら恥ずいっすね。最初の針の可能性あるもんね。まずは平針からの可能性ある。平針から始まり平針に終わる的なポジションの可能性もありますね。原点にして頂点、みたいな。

コニシムツキ:で、その、まあ「平針」と言い回しだとあんま聞かないけど、「ランセッタ」とかだと、そのメスとかの中でどういうポジションなのか、みたいなのはちょっとあるかもしれない。

九月:はいはい。ランセッタ。でも確かにその、医療のことを僕らが如何せん知らないから、ランセッタで調べてみるか。ランセッタ、道具。

コニシムツキ:ポルトガル語だって。

九月:はー。あ、じゃあ本当に昔からあるものですね。蘭学とかの頃だ、じゃあ。ヨーロッパが新しかった頃だ。

コニシムツキ:小型用のメスらしいよ、でも。あ、本当だ。あ、じゃあやっぱ、まあメスのなんか、なんですね。メスのなんか。メスの中では小型っぽい。

九月:じゃあ思ったよりなんか、汎用性のあるものっぽい。めちゃくちゃ難しいやつではないような気もする。でもちっちゃいからってわかんないけどな。ムスタングもちょっとちっちゃいからな(笑)。

コニシムツキ:でこの「両刃」って出てくるじゃないですか。これもなんかこうちょっと、テクニカルっぽさありますよね。普通は片刃じゃないですか、メスのイメージ。だかなんか本当に、なんか目的があってこれを使う、みたいなタイミングがあるんだろうな。

九月:そうだろうね。ランセッ……あ、どうやらね、血糖値測定とかで使うらしいよ。

コニシムツキ:ほう。測定とかで。

九月:測定とかで使う。極めて鋭利。極めて鋭利で、えーいろんな形、V字とかU字とかもあるみたい。

コニシムツキ:へー。

九月:で、えー使い捨てらしいよ。

コニシムツキ:そりゃそうか、まあメスとかと同じようなね。

九月:うんうん。で主になんか指先とか、血糖値とかを測る時のやつっぽいので、細かい作業とかかな。どうやら、もしそうだとすればね、入門編な気がするね。どうやら。

コニシムツキ:確かにその、大手術をする時の道具ではないっていう感じ。

九月:可能性はある。全くわかんないよ、メスを知らないから、俺たち(笑)。医療従事者が聞いてるのは嫌だな、聴いてたら。「適当喋りやがって」みたいな感じかもしれない。

コニシムツキ:ちげーよ、みたいな(笑)。

九月:英語で言うとスカリペル(Scalpel)らしい。

コニシムツキ:聞いたことない響き。

九月:名前ばっかりはずっとかっこいいな。Wikipediaよりね、ランセッタに関わる格言があって。「メスを持って10年」っていう格言が日本国内の外科医と麻酔科医の間にはあるらしい。ひょえー、10年!

コニシムツキ:10年やらないと、メスは使いこなせない。

九月:あ、なるほど。じゃあすごいな。そっか、だからメスそのもの、手術用の金物そのものが全部高度なんだよ。そもそもが。そりゃそうだ、俺さ、仮に医者で手術やれって言われても、ガーゼしか持ちたくないもん。

コニシムツキ:確かに。注射針とガーゼでどこまで行けるか。

九月:手術したくないしな。医者だったとして。

コニシムツキ:確かに。

九月:扱い切れないもん。重圧がね、メス持つどころじゃないっすもん。震えちゃうから。マジで俺医者なるなら、手術少ないところが今絶対。もっと本当にその、一旦手に取る中で、みたいな話をしてたけど、もうそもそもそういうレベルじゃない。

コニシムツキ:ギターじゃないんだ、これ。

九月:ギターじゃねえんだ、医療器具なんて。平針って。ギターじゃねえよそりゃ(笑)。ギターなんか好きなの買えばいいんだ。なんかこうもっとそのエンジニアとかが使って……機械、もっと技法だよ、彫刻刀がとかギター、なんで俺たち全部娯楽で例えてんの。文化でさ、違うもん。ガチガチの。

コニシムツキ:本当にポンと渡されても使い方が全くわからない、モジュラーシンセみたいな、コードがいっぱいブワーって繋がってるああいう……。

九月:ああいうのだよ、楽器のレベル。職人のやつだよ。そうだよ。知らないやつだよ、本当に。

コニシムツキ:そっか、ちょっと舐めてたな。

九月:舐めてたよ俺たち(笑)。もっと高度な次元の道具。フライングVなんて買えばいいんだから。別にその、使いにくいったってな、C、G、Amできるから別に、フライングVでも。まあ言ったら中で近いのは、美容師のハサミとかが一番まあ近い。話出たけど、でも美容師のハサミも別にさ、最悪丸刈りでいいもんね、最悪。

コニシムツキ:まあ確かにな、使うこと切ること自体はまあ、できる。

九月:できるし、大ミスもないというか。本当に人が死ぬことはないけど、平針で別に人死ぬからな。考えたら舐めてたな。

コニシムツキ:人殺せる言葉ってちょっと、結構怖いですね。

九月:重みあるね、こうなってくると。「毒血」やったっけ、第一回が毒血(笑)。そうか。で針だもんな。怖いもん、そもそも。暗殺用の平針とかもあるのかな、もしかすれば。忍者の。毒使い、みたいな。平針の定義、そもそもなんだっけか、確認すると。「平たい針」。

コニシムツキ:なんでもいい、そしたら(笑)。

九月:まあ確かにな。そう聞くと。

コニシムツキ:刃針の別称で、刃針の方がランセットだったから、まあ平たい針のことを平針。だから、まあ本当に忍者の使ってた道具とかで平針はあるかもしれない。

九月:言い得るものはあるかも。あとあれか、板前がさ、鯛とか捌く時のさ、なんかちょっと差し込むやつとかも平針の可能性あるんだ。どれもやっぱ職人道具っぽいけどさ。医療が一番重たい。鯛なんて全部焼いて食えるんだから。「焼いちまえよ」っていう話ではあるし。小骨取ったりとかすんのか。小骨ぐらい最悪食うし、時々。

コニシムツキ:口の中で取るから全然、全然いいからって時あるから(笑)。

九月:煮りゃ食えるしな、小骨も。そう考えたら平針はとんでもないね。いや、すごかった。ちょっとこう僕らが思ってたより距離が遠い言葉でしたね。近い言葉じゃなかった。いやなんか、思い知るな、言葉というものの距離感というか。近い言葉なら適当に何でも言えるけどさ、今回みたいにいっぱい喋ってから「思ったより怖いぞ」って、安直な言葉じゃないってわかる時ある。

コニシムツキ:うん。運命をすごいこう背負ってるものでしたね。平針持つ時に手が震えた医者なんて山ほどいるだろうし。

九月:いるに決まってるそんなの。「この針一つで変わるんだ」。で平針をまあ刺される側がいるわけじゃない。刺される瞬間「うっ」てなってる患者の顔とか浮かべるとさ、軽率なこと言えないよ……って言ったけどさ、糖尿病患者の採血用らしいからさ、そんな深刻じゃない可能性も(笑)。

コニシムツキ:振れ幅はある(笑)。

九月:日々のその、日々の採血の「今日の検査ですよ」の。はいはい。あれかもしんないね、医者じゃなくて看護師がやってる可能性あるね、そのぐらいであれば。もし手術用というよりは。

コニシムツキ:扱ってる人自体は多いのかも、そう考えたら。

九月:平針……うちの母ちゃんさ、採血だよ、看護師。

コニシムツキ:あ、そうなんですか。じゃあ平針知ってるかもしれない、使ってる。可能性ある、採血やってる。

九月:なるほどな。そうだ。あ、母ちゃん……俺、平針の子なんだ(笑)。

コニシムツキ:平針使いの子。

九月:なんなんだ俺。なんか「知らない知らない」って言ったけど、あ、なんか恥ずかしくなってきたな。じゃあなんかどっかで平針使う時に「俺、なんかうまいね」みたいなのあるかもしれないですね。「どこでやってた?」「あ、すいません親が……」

コニシムツキ:もしかしたら、あるかもしれないですね(笑)。そういうの、みたいな。

九月:そうなんだ。うちの母ちゃん、フライングV使いなんだ(笑)。母ちゃんフライングV、いかついぞ。

コニシムツキ:頼もしいな。いないな、フライングV持ってる母ちゃん。「友達の母ちゃんが昔ギターやってて」たまにあるけど。

九月:アコギなんだから、相場は大体。クラシックギターなんだから、ナイロン弦。ナイロン弦でいいのに、フライングV出されたらびっくりしちゃうな。

コニシムツキ:かっこいいな。

九月:たまにあるもんな、友達の母ちゃんとかがギターやってて、急にギター持ってきてさ、しゃしゃり出す時あるじゃん。それででもまあ、まあ行ってもレスポールぐらい。レスポールでなんかエアロスミスのリフ弾いて「おー」でいいじゃん。「世代を感じるなー」でいいのに、フライングV持ってこられたらな、ちょっと深掘りしたくなるよね。

コニシムツキ:すごいな。まああなたも平針の子かもしれません。聴いてる方も、看護師さんでしたお母さん、みたいなお医者さんでしたみたいな。

九月:母親がギタリストだったりしてね。可能性ある。わかんないもんですね。

コニシムツキ:身近な人間関係に目を向けると、平針との接点があるかもしれない。平針がどこかに隠れてるかもしれない……それが伺える回でした。今回はそんな感じで。お聞きいただきありがとうございました。

九月:ありがとうございました。

コニシムツキ:それでは次の回もよろしくお願いします。

九月:お願いします。


九月

生年月日 : 1992年9月21日
出身   : 青森県八戸市
経歴   : 八戸高校卒業
       京都大学教育学部卒業
       同大学院教育学研究科修士課程修了
職業   : 芸人
所属   : フリー
趣味   : 散歩、読書、音楽、美術、野球観戦
特技   : いつでも30分で2000字書ける
好物   : カレー、ラーメン、コーヒー、ドライフルーツ
長所   : 根性、体力
短所   : まぬけである


コニシムツキ

生年月日 : 1997年1月18日
出身   : 愛知県名古屋市
経歴   : 北海道おといねっぷ美術工芸高等学校卒業
       京都芸術大学美術工芸学科総合造形コース卒業
職業   : 彫刻家/文筆家/hoge代表/ex.yuge(Dir.)
趣味   : 読書/映画/音楽/ゲーム/美術/ガジェット
特技   : 相槌
好物   : 肉豆腐/揚げ出し豆腐/冷奴
長所   : 面白がり
短所   : 面倒くさがり

九月

コニシムツキ